記憶の底に隠れる前に
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すすき野揺れる
Category エッセイのようなもの
だけど、実は記憶の中にある野原は、すすき野だったりします。
錆び付いたブランコがある公園の傍の、小さな空き地に秋がくると行きました。
ぬかるんだ土に足をとられながら、ざわざわと揺れるすすきをかき分けて進みます。
ようやく抜け出した時には、とげとげの付いた種を腕に沢山着けていたりして……。
何だか分からないけれど愉快で、必要もないのに通ってしまう野原。
車が走っていることも気が付かないくらい、風の音が近くに感じられる場所。
何度刈られても復活してしまう、強くてやっかいで愛おしい空間。
誰かがいた筈なのに、人の気配を思い出せないのは、風に飲み込まれていたからでしょうか。
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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
場所御題 1空 2野 3町 4湖 5森
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「降り注ぐ」雪
Category エッセイのようなもの
観測上では、みぞれも雪扱いだそうです。
『みぞれとは雨と雪が混じったもの』なので、割合の問題なんでしょうね。
寒い日が続くと、毎日『寒い』しか言えなくなりますが、
不思議なもので雨がみぞれに変わると『仕方ないな』と思います。
雪=寒くて当たり前という式が頭の中で出来上がっているんですね。
白い雨粒がふわりと舞い落ちる頃。
冬支度も終わって、こたつに潜り込んでいることでしょう。
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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
その他御題 「降り注ぐ」 1雨 2雪 3花 4光 5音
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町と街の違い
Category エッセイのようなもの
「ここがメインストリートですよ」と言われたとき、その道の終わりが見えてしまうかどうか。
案内してくれる人は苦笑いしながら、小さな町だからと付け加えていました。
でも、その町を好きなことが言葉の端に伝わります。
終わりが見えるからこそ、愛おしい。
遠く離れてしまっても、きっとこのメインストリートを思い出すでしょう。
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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
場所御題 1空 2野 3町 4湖 5森
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分断されていない空
Category エッセイのようなもの
空の写真が撮りたくて、電線のない場所を探しにドライブに出かけました。
大きな道路からそれて、小さな田舎道を進みます。
きっと、ここなら無粋な電柱も見当たらないと信じて。
けれど、考えは甘かったようで、そこに家がある限り、電線が空を分断していました。
一時間近く、曲がりくねった山道を上り続けて、ようやく理想的に辿り着きました。
見晴台からは、電柱も電線も遥か下に見えます。
見上げると、細く長い茜色の雲がいくつも積み重なるように泳いでいました。
思ったより時間がかかったので、写真を撮るには暗すぎます。
それでも、自由で心地よい空気が流れていました。
カメラを下ろすと、夜に変わろうとしている空へ、涼やかな風が吹いていきました。
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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
場所御題 1空 2野 3町 4湖 5森
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「降り注ぐ」花
Category エッセイのようなもの
丘の上にある花畑に来ると、コスモスは「秋桜」と書くに相応しいのだと再確認します。
さやさやと風に揺れる音。可憐なのに芯に強さを持っているような色合い。
桜に紺色の夜空が似合うのなら、秋桜には透き通った水色の昼空が似合います。
いつもは見下ろしている花も、丘の下から見上げると圧倒されます。
こちらを向いている花びらの表情は桜そのもの。
花見と言うには静かな光景に、どこからか赤とんぼが入り込んできました。
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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
その他御題 「降り注ぐ」 1雨 2雪 3花 4光 5音