記憶の底に隠れる前に
気になる言葉から日常話まで
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梨木香歩先生の隔世遺伝的な連帯感
Category すきなもの
梨木香歩さんを敬愛しています。もう、先生と一方的に呼ばせて頂いています。
最初に読んだのは「裏庭」でした。異世界に足を踏み入れた女の子のお話です。
裏庭は精神世界に近く、冒険物語なのに「傷」や「仕事」といった、今を生きているうえで抱える可能性がある問題が次々と出てきます。
児童文学とは思えないほどの、心の奥底を描いた作品で、感動すると同時に「子供に分かるんだろうか」と首を傾げてしまいました。
私は文庫で読み始めましたが、図書館の子供向けスペースでハードカバーを見つけました。
何度も補強を繰り返されていて、かなり読み込まれているようでした。
きっと、子供は子供なりに、受け止めているんでしょうね。
子供を亡くした母親の話が理解できるのはずっと先のことだとしても、それはそれでいいと思いました。
最近の作品では見なくなりましたが、女の子・母親・お祖母ちゃんという組み合わせが一時期重なっていたことがあります。
女の子と母親の精神的繋がりは薄く、その分、お祖母ちゃんとは同じような闇を持っているように感じました。
離れて暮らしていて、共通点もないのに、同じ流れの闇を抱えている。
それが、連帯感となっていき、分かり合おうとする姿が痛々しいけれど愛おしいです。
また新たな家族像が現れることを願いつつ、新刊を待っています。
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