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記憶の底に隠れる前に

気になる言葉から日常話まで
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秋の作業と夏の余韻
だんだん日当たりが悪くなってきたので、庭に植えていた、白い実のなっている万両の木を移しました。
伸びすぎたラベンダーの枝も新芽を残して落とし、プランターの古い土も土のう袋に入れます。
短い秋なので、冬に向けて準備することは沢山あります。

なのに、どーして蚊だけは未だにいるのでしょうか…。
虫除けは汗で流れて、彼女たちは食べ放題(?)にありつき、私の腕は無残な姿に変わります;_;
秋だというのに、かゆみ止めを手放せない、妙な一日になりました。
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分断されていない空

空の写真が撮りたくて、電線のない場所を探しにドライブに出かけました。
大きな道路からそれて、小さな田舎道を進みます。
きっと、ここなら無粋な電柱も見当たらないと信じて。
けれど、考えは甘かったようで、そこに家がある限り、電線が空を分断していました。

一時間近く、曲がりくねった山道を上り続けて、ようやく理想的に辿り着きました。
見晴台からは、電柱も電線も遥か下に見えます。
見上げると、細く長い茜色の雲がいくつも積み重なるように泳いでいました。

思ったより時間がかかったので、写真を撮るには暗すぎます。
それでも、自由で心地よい空気が流れていました。
カメラを下ろすと、夜に変わろうとしている空へ、涼やかな風が吹いていきました。

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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
場所御題 1空 2野 3町 4湖 5森

歴史は出会いによって作られる
テレビ番組の魯山人特集のオープニングで、この言葉を聞きました。
異様なまでにドラマティックな展開でしたが、なかなか面白かったです。

それにしても、「歴史は出会いによって作られる」とは何て逆説的な考え方なんでしょう。
小さな力ではどうしようもないことが多い世の中で、この「まず、人ありき」な意見。

絶対に敵わない大きな流れに逆らっているからこそ、輝いて見えます。
河原に転がっているぴかぴかの小石みたいで、大好きです。
日が昇るところまで

BUTAPENN様主催のペンギンフェスタ2007がとうとう10000ヒットを記録しました!
おめでとうございますの気持ちを込めて、環境問題っぽいショートショートを書いてみました。

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日が昇るところまで


今年の夏も暑いねという言葉を繰り返して、何十年たっただろう。
とうとう、二学期の始業式は十月一日に延期になった。
暑すぎる学校には通うことすら難しい。
小学校低学年の息子の歩くスピードでは通学途中に熱中症になってしまう。
しかも、夏場は異常気象が続いているので、この決定は遅すぎたくらいだと思う。
夏休みが二ヶ月あることだし、子供と私は旦那の実家に避難することになった。
一日に何度も竜巻が起こる都市より、過ごしやすいとすすめられたからだった。
「パパは行かないの?」
「パパはお仕事なのよ」
同じ会話を何度も繰り返し、ようやく納得させて、電車に乗り込んだ。
最初の一週間は段々畑に囲まれた生活に戸惑っていたけれど、あっという間に馴染み、今日も遊び疲れて眠ってしまった。
攻撃的な日差しのせいで、長袖しか着られなかった去年までと違い、半袖で走り回っている。
おかげで今となっては懐かしい日焼けを見ることが出来た。
私は息子の汗ばんだ額にくっついた前髪を上げながら微笑む。

まだ薄暗い早朝、布団の中に息子の姿がなかった。
木の扉が少し開いている。外に出てるんだ。私は慌てて後を追いかける。
家から少し離れた高台に立ち、遠くを見ている息子を見つけたのは、日が昇り始めたころだった。
眩しくて目をそらす私と違って、息子は真っ直ぐその方向を見ている。
後ろに立っている私に気づくと、太陽を指差しながらはっきりと言う。
「あっちにパパがいるんだね」
「そうよ」
東は日が昇る方向。そしてパパがいる方向。子供ながらにちゃんと理解している。
もしかしたら、守ってくれていた地球を破壊し、太陽を凶器に変えた大人の方が何も分かってないのかもしれない。
「パーパー! おはよーう!」
お腹いっぱい息を吸い込むと、日が昇るところまで届くように、彼は大きな声で叫んだ。
「聞こえたかな?」
目に浮かんだ涙のせいで、ぼやける太陽を見ながら私も叫ぶ。声は届かなくても気持ちは届くことを伝えたかった。
「パパー、いってらっしゃーい!」
それを見た息子は楽しそうに笑いながら、朝日に向かって何度も話しかける。
昨日は誰と遊んだか、今日は何をする予定なのか。そして、帰る日をどんなに楽しみにしているか。
それは、家族一緒に暮らせるその日まで、息子の朝の日課になった。

「降り注ぐ」花

丘の上にある花畑に来ると、コスモスは「秋桜」と書くに相応しいのだと再確認します。
さやさやと風に揺れる音。可憐なのに芯に強さを持っているような色合い。

桜に紺色の夜空が似合うのなら、秋桜には透き通った水色の昼空が似合います。
いつもは見下ろしている花も、丘の下から見上げると圧倒されます。

こちらを向いている花びらの表情は桜そのもの。
花見と言うには静かな光景に、どこからか赤とんぼが入り込んできました。

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御題・台詞配布サイト 雪花の舞に謳い給う。 さまからお借りしました。
その他御題 「降り注ぐ」 1雨 2雪 3花 4光 5音

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